野菜の高騰が教えてくれていること
2015-11-15 配信
野菜の高騰が続いていて、家庭の台所を直撃しているというニュースが流れています。
我が家の田畑でも今年は異変が現れて、ほんの少しの面積ですが、麹づくりに適している「おまち」という品種の米は半分も稔りませんでした。ちょうど同じ時期に植えつけた友人の「コシヒカリ」も例年の半分以下の収穫でした。稲架掛けしたのですが余りの軽さに驚いたほどです。ちょうど出穂時期の天候に影響されたとしか思えません。
畑はというと撒く時期によって大根も白菜も壊滅的に虫の攻撃がありました。ある方々の節によると、人間が食べないほうがいい野菜を虫が食べてくれるというので、それからすると、この野菜達は人が食べないほうがいいということだったのでしょうか。大根も白菜も少しずつ時期をずらして植え付けたのですが、最後に植えつけた分だけきれいに育っています。やっぱりその時の気候が影響しているように感じられます。
愛農会の創立者は亡くなる直前まで、飢餓の時代がくることに警鐘を鳴らし続けていました。気候の変動は毎年激しくなって、異常気象が常態化しています。温暖化の影響で,適地も北上していて、今年は果樹農家にも多くの異変がおこっているようです。
リンゴが落下して収量が少なくて、ハラペコでも入荷に気をもみました。
当たり前に店頭に並べられてきた野菜たち。確実に農家の減少は進み、その上気候の変動による不作も重なり、あたりまえの店頭の光景にも変化が生じてきそうです。日本中の新卒の農業従事者が一企業の新規採用にも満たない数字で、何十年も推移してきているのに、それを問題とも感じないできた私たちです。農産物の高騰という場面に直面して、ようやく事の重大性に気づいても遅いのですが、真剣にそのことを1人1人が考えていく時が来ていると思います。一軒の農家が誕生することの大切さを、そして1人1人が自分の食べるものは自分でつくるという気持ちになることが大事だということを、高値の野菜達が教えてくれていると思います。遺伝子組み換え食品を日本が一番多く食べているというニュースにも驚きましたが、命の糧、もうこれ以上人任せにはできない時代が来ていると強く感じるこの頃です。
奥田美和子
ハラペコ通信 2015年11月号から