ハラペコ通信7月号「有機JAS~オーガニック~つながり・・・。」
2018-08-10 配信
ハラペコ通信6月号でも予告していたように、JAS認証のプロにお話を聞いてきました~。
講師はJAS認証機関、全国愛農会の認証事務主任の岡野さん。
岡野さんは1997年から全国愛農会で勤務されていて、JAS法が成立した1999年からJAS認証に従事されています。(愛農会は、JAS法の制定後、最初に認証機関として登録された八つの機関の中の一機関である。現在は全国で五十五の機関がある。)
スタッフの素朴な疑問に分かりやすく教えてくれたのですが、とても書ききれないので、印象的だったことを私の感想を交えて書いてみます。
Q1.ORGANIC(オーガニック)って??
ORGAN・・・もともとはギリシャ語で、パイプオルガンのように非常に精密なつくりをしているものを指す。
また、医療の世界では内臓、器官のことを指す。
いずれも一つ一つが緊密な関係を持って全体となるもの。
人間の臓器でイメージするととても分かりやすいですね。指を切って血が出として、傷は指だけでも、この傷を体の中では色んな器官が全力で治そうと闘っているのです。
「IC」は形容詞。ORGANにICをつけて形容詞にしたものが「ORGANIC」
農業で例えた場合、作物に虫が大量発生しました→この虫たちは人間にとっては邪魔だから殺虫剤をかけちゃえ→虫は死滅!
でもこれって、虫が大量発生したということにしか着目できていないのかも。原因は土の状態にあるのかもしれないし、自然界の中でバランスを保とうとしている現象かもしれないですね。一つ一つが緊密な関係を持っているため、一つの事柄だけで完結していることはないし、人間の視点だけでとらえることもできないんですね。
私もこのような考え方にとても共感できます。自分の体に良いものを食べたいとだけ考えるのではなく、自分は自然界の一部→じゃぁ、自然を大事にしなきゃ→持続可能な農業をしている農家さんを応援したい!→私にできる応援といえば、その農家さんの作った農産物を選択して買うことだ~→直接買ったり、それが難しければそういう農産物を販売しているお店で買おう→結果的に自分の体に良いものが食べられてた♡
買い物はできれば顔の見える関係で、できれば近くで、できれば個人店でと意識しております。そんな風に意識していると、少しでも安く買いたいなんてちっとも思わなくなりました。私がお金を払う先には私が大事に思う人がいるんですから。
オーガニックってもはや哲学!?
Q2.JAS法はなぜできたの?? いつできたの?
日本では1970年ごろから、農薬は環境にも人にも良くないと気づき始めた有機農業に転換していく人たちがいました。1990年前半には有機農産物に関するガイドラインができるのですが、守らなくても罰則がないこともあり、生産者さんによって認識がまちまちだったり、悪質な場合は表示を偽ったりといったこともあったので、国はこの状況を見過ごすわけにはいかんと消費者がフェアにお買い物できるように規制しましょうということから1999年にJAS法が成立し、2000年からJAS制度がスタートしたそうです。消費者にとってはとてもありがたいことですね。
ただ、農家さんにとってはどうでしょうか。JAS法ができる直前までは「有機農業」なんてとほとんどの人が馬鹿にしていたのにJAS法が出来た途端、認証を受けないと有機農産物って表示しちゃダメなんて少しひどいなぁ。誰からも相手にされない中、農薬・化学肥料・除草剤に頼らずに作っていた農家さんもたくさんいたはずですから。
ハラペコあおむしでは、JAS認証を受けていない農産物も販売しています。JASマークは一つの基準としてとても分かりやすいものです。でもそのマークがあるかないかよりも、農家さんがどんな思いで農業をされているのかということに耳を傾けたいと思っています。
Q3.JASで使える農薬や肥料とはどんなもの?
JAS制度には許可されている農薬があるからJASは信用できないという声もちらほら。では、どんな農薬が許可されているのでしょうか?
素人が一覧表を見ると、こんなにたくさん使えるの?と驚くそうですが、農家さんから見れば使えるものはほとんどないとのこと。安全性が高い農薬・化学肥料しか認められていないので、効果はほぼ期待できないそうです。農薬を使用しないことが原則とされている中、それでも使用するのはどんな時か、それは使わざるを得ない状況になった時。緊急避難的に使用するそうです。
岡野さんは認証の更新などで各地畑を見に行くことが多いのですが、果樹園で今すぐに薬で対処できればまだまだ長生きするはずの樹木が、無農薬にこだわるがゆえに死んでいく様を見たりすることもあるそうで、やるせない気持ちになるとおっしゃっていたことがとても印象的でした。
人間も自然に沿った暮らしをと考えていても緊急避難的に薬に頼ることもあるのに・・・ともおっしゃっていました。
ハラペコの仕入れ農家さんに数年前りんごがほとんど収穫できない年があり、「最低限の農薬でやってきた結果がこの状況。無農薬、減農薬でやっていくことの難しさを痛感した」とおっしゃった言葉が思い出されました。
有機の農家さんはもちろん、慣行栽培の農家さんだって農薬を使いたくて使っている人はいないのです。
Q4.JAS認証のいいところ、課題は?
良いところは、ズバリ有機っていいものだよねという認知が広がったそうです。
課題はというと、もっと消費者に買ってほしいこれにつきる。
統計では、消費者は99%の人が「できれば有機農産物を買いたい」と思っているのですが、現状では流通している有機農産物は0.2%という摩訶不思議。農家さんも40~50%ができれば有機農産物を作りたいと思っているそうなんですが、売れなければ作っても暮らしていけませんね。
これは私たち買う側の心が大きなポイントに。
海外の有機農産物と国産の特別栽培の農産物ならどっちがいいの?なんて質問も時々ありますが、答えは自分の心の中にしかありません。何を大事にするのか。
私にとって大事なのはつながりそのものです。
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