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ハラペコ通信9月号 巻頭言〜小農と平和〜

2019-09-20 配信

小農と平和

土の香農園 奥田信夫

私は6年前に愛農高校を退職し、今は伊賀市種生という山村に住んで、小さな農業を営んでいる。栽培している作目は3反の畑に20数種類の野菜と稲作2反の5反百姓である。農機具はトラクター、管理機、草刈機のみで、鍬、鎌を使った手作業が主であり、70歳の老人にはいささか過重労働である。しかもすべて有機栽培であるため、雑草の繁茂がすごく,見た目は楕農そのものである。特に暑いさ中での農作業はまことにきつく、正直こんなことはもう止めようと思うこともある。

しかし秋になり涼しくなると、大根の種をまき、キャベツや白菜の育苗を始めてしまう。冬になれば夏野菜の育苗に取り掛かってしまう。それが多忙、疲労につながることはわかっているが、そうせずにはおれないのである。なぜこんなことを続けてしまうのだろうか。その疑問に最近1つの答えが与えられた。

それは小農学会が出している機関誌「小農」3号に、農民作家の山下惣一さんが講演の中で、次のように語っておられるのを読んで、わが意を得たりと思ったからである。山下さんは言う。「私はここの農家がどういう形であれ頑張ってそこで生き残っていくことが、実は戦争を止める道だと思っているんです。」「私は小農がたくさん残っていくことが、反戦、平和運動だと考えているんです。」

昔も今も農民、学者、政治家はこぞって農家が生き残るには、規模拡大による収益増大が絶対必要だと思い込んでいる。戦前にはそのために中国や朝鮮半島を植民地化し、そこに日本の貧しい農民を送り込んで、大規模農業を実現しようとした。私の義父母もその国策に乗って満蒙開拓に従事し,九死に一生を得て帰国した。その国策によって実に7万人もの人が命を落とし、今なお中日、韓日関係に大きなしこりを残している。山下さんはそれを踏まえて、国内で小農で生きることの大切さを言っておられるのである。私も小農で生きることが平和を作り出す」との思いで、今日も暑い中汗をかこう。

 

(「ハラペコ通信」は毎月始め頃に発行し、店内でお配りしています。)

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